『全館冷暖房 その3。』
2015年 05月 04日
雨天曇天の少し肌寒さがあるGWですが、
皆様、いかがお過ごしですか?
多忙な日々に戻る前に、家族と楽しくゆっくりと出来るといいですね。
さて、全館冷暖房についてです。
家中どこに行こうとも、どこにいても、温度がほぼ変わらなければ
とにかく、
「移動がラク。」
であることは、
特に戸建てにお住いの方は、容易に想像がつくと思います。
トイレに行くにも、お風呂に入るにも、
寒い(暑い)から嫌だなあ・・・・・
を感じることなく、
何も考えずに、
場所から場所へ移動ができたら、
ホテルと同じような感覚で過ごせるわけです。
全館冷暖房の作り方は
実はそう難しくありません。
熱的境界を、外皮(躯体)に適切な性能で設定し、
家中(全館)に行き渡る適切な設備を導入する。
基本はこれだけです。
「適切に」
というのが、特に躯体の設計において大きなポイントで
ただ特別なシステムを導入するだけでは、
”省エネルギーで実現”するには不足です。
外気温の影響を受けにくくし(断熱)
温めた、冷やした空気を逃さないようにし(気密)
設備をどういう風に設定するか、
これらは適当には出来ないわけですよ。
計算しなければならないし、
実測も欠かせません。
導入する設備についてですが、
「光冷暖」
もしくは、
「パッシブ冷暖」
が、通年で適温を作る設備としておすすめしています。
「デシカホームエア」(by ダイキン)
は、熱交換換気+湿度コントロールが可能で、
こちらも超オススメです。
気密性を高めた躯体で、室内を適温にしようとすると
換気は重要なポイントになってくるからです。
光冷暖、パッシブ冷暖は
どちらも、「ヒートポンプ」を利用した設備ですが、
「光冷暖」は空気を冷暖するのではなく、
放射による熱の移動を利用したものです。
駆動部分である室外機(ヒートポンプ)が外にあるため、
室内は機械で動くものがなく、
「無音、無風」で、
風によるストレスが苦手な方にはぴったりです。
冷温水を媒介するラジエーターの設置があり、場所の検討が必要です。
「パッシブ冷暖」は、
エアコンを壁ではなく床下に設置し、
冷暖房された空気を、全館に行き渡らせる仕組みです。
建築と一体で作られるため、施工における精度が求められます。
室外機であるヒートポンプは室外にあります。
風と音は多少感じますが、室内に設置されたエアコンと比較すると
かなり静かで、風が直接身体に当たることが少なく、
風によるストレスもかなり低減されます。
どちらが優れているというのはありませんが、
目的は同じ、
「家中の温度差を出来るだけ無くす」
ことです。
どちらも、高断熱であり、高気密である躯体性能が大前提です。
エヌテックも参加して取り組みが始まっている
「パッシブ冷暖」
は、
パッシブデザイン、
バイオクライマティックデザイン の考え方、
「適切な温熱環境が人にもたらす価値」
を、理解した、
参創ハウテックさん(東京)を中心とした
志を同じくする工務店のネットワークの中で
快適を省エネルギーで実現するために、
「データ収集」など、実地研鑽を重ねています。
定量的な考察を重ねることで、
より良い結果へと導くことができます。
比較的コストが割安であることもメリットで、
今後、ワンランク上の快適空間実現の提案として、
エヌテックも推進していきたいと考えています。
より快適な温熱環境で過ごしたい方は今後増えていくと予想しており、
工務店のネットワークが作り上げたという点も含め、
ますます注目をされるでしょう。
「どこにいても、変わらぬ温度。」
全館冷暖房がもたらす一番のメリットは、
「ストレスがない」
ことだと思います。
うちの近くに、真新しい幼稚園さんがあります。
イマドキの建築物なので、オシャレな外観になっており
通園するのも楽しそうです。
が、
ひとつ残念だなー、と感じることがあって、
それは、
室外に”多数”設置されたエアコンの室外機です。
ズラリと並べられた室外機の光景はなかなか壮観です。
普通の戸建て住宅でも、
部屋ごとにエアコンを設置すれば
3〜4台の室外機が外で運転音を発生していますが、
施設となると、その倍以上が並んでおり、
素敵な外観を損なっているだけでなく、
音と発生する熱(交換し捨てられる熱)も多大です。
全館冷暖房設備の特徴として、
普通の30〜40坪程度の住宅であれば、
1台の室外機で、
少し大きくなったとしても、2台程度で済みます。
機械部分は、少ないに越したことはありません。
外観を損なうだけでなく、
メンテナンスの手間と故障のリスクを減らせます。
(逆に言えば、台数があるだけ故障のリスクとメンテナンスの手間が必要)
外にある室外機はホコリやゴミを取り除いてやらないと、
テキメン能力が落ち、エネルギー消費量も増えてしまうのですが、
メンテナンスの「手間」は、台数だけ必要なんですよね。
実は、室内機もこまめにメンテしてやる必要があるのですが、
これも手間暇コストも掛かります。
余談ですが、
エアコンの室外機に、
木製のカバーなどをつけてあるのを見かけますが、
あれは、出来ればやめた方がいいですね。
シーズンオフであれば問題ありませんが、
シーズン中も見た目を気にしてラチス状などのカバーをされていると、
排気の流れを損うことで、
下手をするとショートサーキットの原因にもなり
最もよくないのが、
冷暖房能力の低下につながり、
冷暖房の効きが悪くなるだけでなく、
省エネの阻害になっているんです。
室外機の周辺は適度な空間を開けてやってくださいね。
快適な室内温熱環境を実現する、
省エネルギーで実現する、
全館冷暖房を実現する。
冬の寒さも辛いですが、
真夏の猛暑の辛さは暑さと湿気の二重苦。
冷やすことと除湿でしか解決できません。
回避する手段は様々ですが、
お住いの建築時に、冷暖房設備は何かを導入されるわけですから、
自宅のエネルギーをどうするかと合わせて、
一度じっくりとご検討くださいね。
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by ntecj-yoko
| 2015-05-04 09:27
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