『建てる前に考える。』
2014年 06月 15日
梅雨の真っ最中のはずですが心地よい日が続いていますね。
来週半ばから外気温があがる予報が出ています。
皆さん、夏の支度は進んでいますか?
建てた後を考えるシリーズの途中ですが、
”建てる前”のお客様とお話をする際に、共通の気になる点がありますので
ちょっとご参考までに。
それは、家作りをにおいて「定性的」 な面での比重が多すぎる?ということです。
建築は、クリエイティブなことですから自分の夢をリアルな形にすることでもあり
それによって、理想の空間で暮らすこととによる自己実現的な側面があるのは
事実です。
「夢」
という言葉が、家作りの雑誌や本には必ず踊ってますし、
大金を掛けることですから「夢」は大きな推進力になることは間違いないですね。
私は、「リアル」はいくつかあると思っています。
夢が形(3次元として実際に体験できる)となるリアルと、
暮らし&人生というリアルです。
家作りに長く携わっていると、夢は、暮らしのリアルの裏打ちがあってナンボというのが
実感として分かります。
夢も希望もない話で恐縮ですが、
「光熱水費」「権利」「税金」「洗濯」「ゴミ」「埃」「騒音」「匂い」「暑い寒い」・・・
建築の仕事に携わっている人の多くは、もしかしたら分かっているのかもしれません。
お引渡し後に延々と始まるのはこういう雑多なことであることを。
しかし、こういう楽しくないお話をしたところで家作りを依頼されることがないことも。
依頼される方も、薄々は分かっているのかもしれませんが、
「後からどうにかなる。」
か、
「そう大したことではない。」
と、楽しくないことは片隅に押しやり楽しい方をより意識されているのかもしれません。
今年の年初のこと、固定資産税調査の立会いでお引渡し後のお客様のところに伺って
帰ろうとしたときのこと、
向かいのステキなご新居の奥様が出てこられ、
「今、区役所の方が来られたんだけど、これって何??」
と、私に聞かれました。
固定資産税の評価額算定調査はご新築であれば全部実施されます。
どうやら全くご存じなかったようでした。
大きなお金が動いた結果、登記簿謄本に所有権が明記され、社内的な存在となる「家」。
家がある限り、周囲にも影響を与え続けます。
植栽の落葉、室外機の位置ひとつで、やっかいな近隣トラブルに発展することもあります。
雑誌などで見かけるプラン図には、植栽が書き込まれていることが多いですが
よ~~く見ると、隣地にはみ出していたり(道路にはみ出ている分はまだマシかな?)
その後のトラブルのシーズとなりそうなものもあります。
自分がそのお隣様だと考えると、隣の家の落ち葉が落ちてきてにこやかに出来るかどうか?
自分は気にしないし・・・、だとしても、お隣の方は気にされないでしょうかね?
某公共機関で実際に聞きましたが、なんでも相談のような窓口で最も多い相談は、
「隣からの落ち葉」
だそうです。
公共機関に相談ということは、近隣同士での解決が困難(だった?)ということですね。
外観イメージやパッシブデザインにも重要な植栽ですが、違う側面も考慮要ですね。↑
「夢」などの実現したいことや、いくら掛かるのかを考えることも重要ですが、
合わせて、ぜひ、「家は社会的な存在である」ことも考慮して進めて頂きたいと思います。
自分も困ることになるし、結果的に人を困らせるような建造物は自分も他人の夢も壊します。
「長期優良住宅」も認定があってこそ受けられる様々な優遇があります。
「権利関係」も、あとあとの人生にまで大きな影響を与えることになります。
とにかく、「知っておくこと」、が大切です。
知ってさえいれば、必要不必要において選択ができます。
資金についても、住宅ローンや損得を考える前に「何にお金が掛けるべき」を知ることで、
掛けるべきところと、そうでないところを自分で見極めることが出来ます。
結果的に、安い高いより”適切なお金の使い方”が出来るのではないかと思います。
掛けるべきところにキチンと掛けておけば、必ずメリットとなって帰ってきますし
そうでなければ、掛けなかったデメリットを自分が被るだけ、です。
「夢」や、「イメージ」
に踊らされるのも決して悪いこととは思いませんが、
くどいようですが、家は長-------い時間を過ごすことになる社会的な存在です。
配慮すれば、配慮してもらえる、は人付き合いだけでなく「家」も同じです。
家は人柄、とも言いますしね。
半分はクールに☆。
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by ntecj-yoko
| 2014-06-15 09:52
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