『建てた後から始まる、を考える。防暑 その3』
2014年 06月 13日
今年は「冷夏・長雨」の予報が出ているようですね。
今のところ外気温も上がって27~28度のため
まだ過ごしやすいかと思います。
さて、真夏に備えての「防暑」の3回目です。
年々暑く、長くなる、ような気がする夏ですが、
7月から9月の終わりまでを想定したとして、約3ヶ月間となります。
その間をいかに暑さを押さえ、涼しく感じながら省エネで過ごす・・・
という、一見矛盾しつつも素直な願望を実現するために
熱の出入り逃がしにくい性能を備えた建築とし(高断熱+高気密)
建物の外側で日射を遮蔽し(出来るように備えておき)
電化製品などによる内部発熱も出来るだけ抑えるように工夫する、
ことが、先ずは大事ですよと(しつこく)書きました。
風が涼しい午前中には窓を開けて涼をとり、外気温が上昇して
道路なども熱を蓄え始めたら窓を閉めて熱を入れないようにしておき、
夕方、太陽が沈んだら窓を開け放ち涼しくなった空気を室内に取り入れて
室内の熱を逃がす・・・こともお伝えしました。
また、車の往来が多かったり、ビルが立ち並んでいたりと立地条件により
窓を開けない方がいい場合もあるので、
やたらに通風をすればいいってもんでもない、こともお伝えしました。
また、建築前ならば計画時に西の窓を出来るだけ小さくするのがおススメです。
いわゆる西日対策ですが、
そもそも、ですが、何故”西日”は暑いんでしょうね?
夏の西日はやっかい極まりないものですが、冬の午後の日射は有難い、という
矛盾した存在なのですが、
ここは、夏の西日がいかに”ヤバイ”存在かを知った上で考えてみたいと思います。
前先生の「エコハウスのウソ」のP50~51に分かりやすく書いてあります。
東と西の太陽光は、低い角度で建物に照り付けます。
東の日射は、比較的涼しい午前中に限られるためまだマシですが、
西の日射は、午前~午後の間中照り付けた日射で地面や建物に蓄熱され
外気温の上昇がピークに達するのが午後4時頃となっています。
また、夏の期間は太陽が沈むのも遅く午後7時頃まで照りつけることもあり、
照りつける時間と日射量自体は、東も西もほぼ同等なのですが、
時間の経過により建物と人に及ぼす影響は東と西とで違ってくるわけです。
冬の西日ですが、日射量も少なく時間も短いため、
冬の場合の日射利用は南面と水平面のが有効です。
冬の西日利用は暖房では考えず、夏対策としたほうが有効というわけです。
ちなみに、冬は南面で日射が取得できるようにしておき、
水平面が有効なため「太陽熱温水器」もしくは「空気集熱式」で熱利用を
考えるのが有効な使い方ということになりますね。
さて、夏の西日について知識を得たところで、東西の日射について防御を
考えなければなりませんが、
前にも書いたように、東西の日射に対しては「窓上庇」そのものは
日射遮蔽にはさほど役に立ちません。
な~んだ、じゃ東西には窓上庇は無駄なのね?
ではなく、外部遮蔽部品(簾など)を取り付けするに必要なため付けて下さいね。
ここで、もっとそもそもに戻ってアドバイス?をひとつ。
これから土地探しをされる方も多いかと思います。
土地探しの皆様でご要望が多いのが、南の日射を出来るだけ入れたい、
ということから、南側道路をご希望の方が多いのですが、
上記のようなことから確かに日射利用を考えると正解ではあります。
しかし、南面には日射利用のための窓を設けることもおおいため、
道路に面しているとプライバシーとの兼ね合いがあって、
せっかく南からばっちり日が当たっても人目が気になって終日カーテンを
閉める結果になり計画時に南の日射利用を考えていたとしても
本番である暮らしが始まってから上手く利用出来ない、となることもあります。
自然エネルギー利用だけを考えて土地探しをされる方は少ないかもしれませんが
暮らしはエネルギーだけではありませんので、西道路でも、東道路でも、北道路でも
自然の特長さえきちんと分かって抑えておけば、立地に合わせた利用が出来ます。
自然エネルギーは確かにエコですが、夏の暑さ(や冬の寒さ)を自然エネルギーや
建築物の備えだけで凌ぐのは、なかなか難しいことです。
街中であれば冬がさほど厳しくなくても夏はかなり厳しく、
郊外であれば夏は比較的しのぎやすくても冬は相当厳しいです。
無理をせず、利用できるものは利用し、不足は補う、
立地や家族の暮らし方に合った適切な計画と暮らし方こそが大切です。
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by ntecj-yoko
| 2014-06-13 10:47
| 取り組み