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『建てた後から始まる、を考える。冷房 その2』

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昨日(5日)と打って変わっていいお天気になりましたね。

朝方は気温が下がって肌寒いくらいでしたが

日中は気温も上がってこの季節らしくなりそうです。

さて、心地いい季節は短くあっという間に6月、

そして梅雨~夏・・・猛暑へと移り変わります。

「あー、一年中5月だったらどんなにいいかしらん。」

と、私などは思いますが、残念ながら私の希望は適いません。


入居して迎える初めての夏が来たとします。

簡素な作りだった賃貸と比べて新居はさてどうなんでしょう?

新居がどれほど「暑い!」

のかは、入居して初めて分かる感覚でもあります。


何度もご紹介しているのでご存知の方も多いかと思いますが

こちらの表↓のグリーンの部分が人間の感じる「快適ゾーン」です。


『建てた後から始まる、を考える。冷房 その2』_b0122502_9373871.jpg
















オルゲーの生気候図も同様ですが、

人間が感じる「心地よい温度湿度」は、大体分かっています。

この快適ゾーンは覚えておいて損はありません。

夏は、温度が28℃くらいまで、その時湿度が約60%以下であれば

人は快適と感じるようです。

なので、快適にしたいと思えば目指すのはその範囲ということになります。


で、夏において快適のため建築が出来ることは、


① 高温になった外の熱を出来るだけ室内に入れないようにする。


ことに尽きます。

室温上昇を防いで、体感温度、体感湿度を上げないようにするのです。

温度が上がれば、湿度も上がる。

これもれっきとした自然の摂理、物理現象です。

そもそも湿度の高い日本では、室温を上げないようにすることで

湿度も上がらないようにしてやることが、

「快適な室内」をつくるには必須の手法です。

その手法とは、


① 外壁、屋根(外皮)、窓 を熱が入りにくいものとする。 

⇒ 断熱性能を適切に高めてやる。特に「窓」。


② 日射を遮蔽できるようにしておく。(軒・庇・シャッターなど)

⇒ 特に、熱の出入りは窓が最も多いため、

  直射日光を「窓外」でシャットアウトするのが最大のキモ。


この2つです。


「え?でも、熱が入らない窓だと冬が寒いのでは?」

と言う疑問もありますね。

これについては、冬の回に書きますので少々お待ちを。


ご存知の方も多い、あの有名な、

「住居は夏を旨とすべし」(by徒然草:吉田兼好)があって

「だから、夏には風通しのいい住まいが一番」、

とおっしゃる方も未だに多いです。

(余談ですが、今でも吉田兼好先生のお言葉が活きてるって

作家としてすごいことで、「風通し」ということが

いかに日本人の感性に合っているかってことの証でしょうね。)

が、吉田兼好先生が生きた時代と、今の時代で、

真夏において最も違うのは、

家を取り巻く町の環境が変わってしまっている、ということです。


<約700年前 鎌倉時代>

⇒土の道、木造家屋、動力による排気無し 


<2014年の現在>

⇒ アスファルト舗装された道、コンクリート建築物、AC排気


約700年前の時代(1300年頃 鎌倉~南北朝)と違って

車が発明されてから、街中の道と言う道はアスファルトで舗装され

コンクリート(石です)の建築物が林立し、

駐車場はコンクリート(くどいですが石です)で覆われ、

膨大な数のエアコンの室外機から常に熱が発生し、

現代の家の周辺は「常時熱を発生するもの」や「蓄熱材(蓄冷材)」に

囲まれているのが現実です。

昔はよかった・・・ってことは全然思いませんし、

昔に戻りたいとも思いません。

現代の方が安全で衛生的で暮らしやすいことは間違いないですから。

今、現代の環境はそうなっている、というだけのことです。


涼やかな風を取り入れることで家のクーリングが出来たあの時代は

「夏旨の家」

でOKだったのかもしれませんが、

いや、自然豊かだった分夏は虫に悩まされていたと思うし、

冬はシャレにならないくらい寒かったと思うなぁ。

衣服の事情も違ってましたしね。

平均寿命が今より随分短かったことでも生きるに厳しかったことが分かります。


時代が変われば周辺環境も変わっているってことですね。


繰り返しになりますが、真夏の基本は、

「高温の外気と日射を室内に入れないようにすること」

ここが何よりも先ず重要で、

建築がどうあるべきかは自ずと分かって来ます。


熱を入れない高性能な窓にする、

東西に大きな開口部を取らない(特に西)、

日射を外で遮る備えがある(軒・庇)、

熱を入れない高断熱な躯体にする、

蓄熱(蓄冷)する物を素材として採用を避ける(外構も含む)

・・・などです。


が、しかし、

建築だけで「人が感じる”涼しい”空間」を作ることは

実際には出来ません。



第一に建築で熱が入らないようにしてやって、

次に熱を取り去るために”クーリング”ということになります。

ここまで読まれた勘のいい方は既にお気づきかと思いますが、

熱を入れないようにしてやることは、

「省エネ」、に繋がることでもあります。


明日に続きます。






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by ntecj-yoko | 2014-05-06 10:47 | 取り組み

設計士yokoが主催する スタジオエンネのブログ


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